公立中高一貫校の公開授業を見学 中学生の大人顔負けなディスカッションと社会性について

中学受験対策

先日、中学受験を目指す娘の、志望校の公開授業を見学に行きました。

公立中高一貫校の公開授業です。

難関校の授業とはどのようなものかと、前々から気になっていたので今回は、中学校と高校と両方の授業を見学しました。

わが家には、現在中学2年になる息子もいるのですが、来年度は兄妹そろって受験となります。

そのため、娘だけではなく息子も一緒に公開授業の見学に連れて行きました。

高校の授業も見学をしましたが、この記事は中学の公開授業についてをまとめています。

高校の公開授業は、関連記事にて公開しています。

感想については一言では語りつくせない程ありますが、中学生の授業で一番印象に残ったことは、社会性の高さについてです。

今回は、公立中高一貫校の公開授業の様子や、見学して気がついたこと、中学受験を目指すにあたり、参考になったことを書いています。

全文は、6分程度のお時間がかかります。

気になるポイントは、目次からご確認ください。

付属中学校の授業

公開授業の科目については、国語、数学、理科、社会、英語と、5教科を見学できました。

1年から3年生まで、各クラスの移動は自由となっています。

同じ学年の同じ教科であっても、クラスが違うことから授業内容も変わってきます。

全学年、全科目、クロームブックを使っての授業で、スライドショーを使った授業が多かった印象があります。

大人も納得なプレゼンの授業

全教科の見学をしましたが、その中でも中学3年生の社会の授業については、狭き門をくぐり抜けて中学受験を合格したことが伺える、素晴らしい授業でした。

こちらの授業を見学するだけで、公開授業を見学した価値があると言っても過言ではないほどに、見ごたえのある授業でした。

まさしく公立中高一貫校の受験に必須な、読み解く力が発揮されている内容です。

社会は、小学生や保護者など、見学者が全員参加できる参加型の授業になります。

コンビニを出店するならどこにする

内容としては、A市、B市、C市の3つの市から、コンビニを出店するとして、

店を長く続けていくために、どこに出店するのがいいだろうか?

A市は、病院との複合店となり、自然が豊かな場所です。

人口減少傾向にある町で、買い物できるお店が少なく地域の人が困っています。

営業時間の設定:午前7時~午後10時

駐車場あり

補助金:300万円

出店費用:800万円

B市は、ガソリンスタンドとの複合店となり、大型スーパーなどの競合もありますが、大企業の工場では多くの人も働いています。

最近は住宅地も開発されています。

営業時間の設定:24時間

駐車場あり

C市は、大学との複合店となり、再開発により人口増加傾向で、交通の便が良く、交通量の多い地域です。

テーマパークもあり、新しい店が次々に開店しています。

営業時間の設定:24時間

駐車場なし

補助金:0円

出店費用:1200万円

このようなテーマについて、6グループに分かれ、各班ごとにスライドを使い、どこの市に出店するのがいいかを、発表する形式となります。

A市、B市、C市の周辺の環境や出店条件を細かく分析し、様々な角度から考える必要があります。

その他、人件費や売上額など、各市の予測数値なども参考にしました。

以上のことから、それぞれの市についての、メリットとデメリットを考えた出店となります。

初めは、見学者が聞きたい班の席へ行き、5分以内で個別にスライドの説明をしてもらうという形式の発表でした。

その後はクラス全体の前で各班の発表となります。

出店のメリットとデメリットを語る中学生

私と娘は入口付近の班のプレゼンを聞きにいきました。

その班は、C市に出店をしたいとの意見です。

そして、それぞれの市についてのメリットとデメリットを、スライドを使い説明してもらいました。

説明を簡単にまとめます。

A市について

メリット
  • 病院との複合店である
  • 競合がない
  • 営業時間が午前7時~午後10時のため、深夜帯の人件費の削減に繋がる
デメリット
  • 病院との複合店なので病院が休みの時の集客が見込めない
  • 人口減少傾向のために地域住民からの集客率が低い

B市について

メリット
  • 大企業の工場や住民からの収益が見込める
デメリット
  • ガソリンスタンドとの複合店のため、近年はガソリン代が高騰していることから集客率が下がる
  • 大型スーパーなどの競合の懸念

C市について

メリット
  • 大学との複合店なので、競合が出来ても継続的な集客が見込める
  • 交通の便が良く人口増加傾向で、集客率が高い
デメリット
  • 大学との複合店なので、学生さんが休みの時の売上が下がる

出店をしたいと思うC市については、デメリットもありますが、打開策として、学生さんが休みの時は、近くのテーマパークからの集客が見込めるのではないかとの考えでした。

テーマパークは、基本的に繁忙期が学校が休みの時なので、大学が休みで下がると懸念される売上についても、テーマパークからの集客によって補えるのではないかということです。

そして、テーマパークは物価が観光地価格なので、帰り道に立ち寄った際には、コンビニの価格が安く感じるなどの感覚的な部分からも、売上に繋がるのではないかとの考えも、一理あるとのことです。

確かに観光地へ行くと、物価が高すぎてコンビニが安く感じるなど、感覚がマヒしてしまうところはあります。

このように、スライドを使い、グラフや比較表などの統計データを見せてもらい、C市に出店したいと思う理由が、とても分かりやすく伝わりました。

社会性が高すぎる中学生のディスカッション

各班の意見を聞いた後には、全体の発表となりました。

各班が、どこの市にコンビニを出店するかのプレゼンとなります。

プレゼンが終わり、6班中、5班がC市に出店したいという意見で、1班だけA市に出店したいという意見が出ました。

そこで、ディスカッションが始まります。

C市については、圧倒的に立地が良いことと、大学が複合で24時間営業や、近くにテーマパークがあることから、安定した集客が見込めると皆が意見を出す中で、なぜA市がいいと思うのか。

C市のほうが圧倒的な支持率です。

しかし、6班中、5班がC市のメリットを伝える中で、A市に出店派の1班も、A市に出店するメリットについて、食い下がります。

A市に出店するメリットは、営業時間の設定が、午前7時~午後10時ということなので、深夜帯の人件費の削減に繋がるということです。

また、病院内の売店だけでは不足しているものなどを、コンビニで補えることから収益につながることや、コンビニを出店することによって、人口増加に繋がることから、A市に出店するメリットがあります。

そこでC市を推奨する班の生徒さんが、

コンビニと人口増加の関係性が、いまいち分からないなぁ。

このように、コンビニと人口増加の関係性が、いまいち分からないことを指摘した際には、

コンビニを出店することによって、便利になるから住みたいと思う人が増えて結果的に、人口増加に繋がるということ。

みんなが不便を感じるから住みたくないと思い、人口減少に繋がるけど、便利になれば便利なところに引っ越したいと思う心理が働きます。

店を長く続けていくことを考えた場合は、コンビニを出店することによって、人口増加が見込めるため、将来的な収益にも繋がるからです。

このように、話していました。

先生も生徒さんたちも唸ります。

そして、C市を推奨する班が、

それだけでは、弱いと思う。

C市のほうが立地もいいから、安定した集客が見込めると思います。

C市派は徹底的に、異論を唱えます。

これに対して、A市の出店メリットを伝えるべく、スライドでグーグルマップを開いた男子生徒さんは、

みなさん、こちらのA市の地図をご覧ください。

ここに、病院があります。

そして、新幹線の停車する大きな駅もあります。

さらに、高速道路も通っています。

さらにさらに、近くには大きな公園もあります。

以上のことからC市だけではなく、A市も立地が良いことが分かります。

こちらの地図から見受けられるように、A市は立地が良いことと、現在は競合がないことが最大のメリットです。

そしてコンビニを出店することにより、人口増加に繋がると、長期的な収益が見込めます。

よって、僕たちの班は、A市に出店するのがいいと思いました。

これには、先生も生徒さんたちも、

「なるほど~」

といった感じで納得していました。

このように、ディスカッションが進められていきました。

そして最終的には、A市、B市、C市の多角的な考えから意見を発表した皆さんに、大きな拍手で授業が終了しました。

なんとも大人顔負けな、素晴らしいディスカッションを見学することが出来ました。

今回の社会の授業については、はっきり言って正解はありません。

多角的な考えと分析力、いかに相手に伝わるような発信ができるか。

そして、相手の心を動かせることができるか。

これが授業の目的です。

娘の通う進学塾で常に言われている、

「柔軟な思考と語彙力を鍛えること」

塾の先生がおっしゃるワードが、理想的にクリアされている生徒さんたち。

倍率の高い難関校の受験に突破したことが、納得できる発表でした。

正直なところ、中学生にしておくのはもったいないと思う程の、説得力です。

圧倒されるような公開授業は、日本の未来は明るいと思う瞬間でした。

プレゼン能力と「聞く力」

プレゼン能力の高い中学生について思うことは、「聞く力」についてです。

「聞く力」がある人は「話す力」のある人。

生徒の皆さんが、話し上手な理由の一つとして、先生の話や他の生徒さんの話を聞くことができるということです。

生徒さんたちについては、授業中に私語がなく、静かなことも「聞く力」によることと、納得が出来ました。

発信力を高めるためには、「話す力」を訓練する前に、「聞く力」をつけること

先生や生徒さんが発言している時には静かに話を聞くこと。
そして、良いと思う意見は、どんどん吸収して自分のものにすること。
他の人の意見を聞くことによって、自分の話す力が養われます。

そして「話す力」の先にある、「伝える力」も養う必要があります。

「伝える力」があることによって、「話す力」が活かされます。

プレゼンやディスカッションでは、適切な音量で、相手に届くように伝える必要もあります。

今回は中学生の公開授業の見学でしたが、とても受験の参考になりました。

子供たちにも、「聞く力」を意識しながら、生活をしてもらいたいと思いました。

また、今回の公開授業の見学が、良い刺激となることを期待しています。

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